研究概要 |
本年度はKrFエキシマ-レ-ザ-光(波長248nm,スペクトル幅0.001nm,パルス幅約10ns,エネルギ-20mJ/パルス)をnーヘキサンセルに照射すると,液体内に超音波格子が発生し,それによってコヒ-レントな誘導ブリユアン散乱(SBS)を,入射光と逆方向に,入射波の位相共役波として発生させ,その特性をしらべた。 1.レ-ザ-光をレンズで集光したときの焦点スポットの位置とSBSセルの液面との相対位置関係により,発生するSBS波のパルス幅およびSBS反射率がどう変化するかを測定した。焦点位置が液面とその上方0.5mmまでの狭い領域内にあるとき、入射波の1/10以下の短パルス(0.2ns程度)が発生することを発見するとともに,焦点位置が液体内に入るとともにパルス幅および反射率が増加し、10mm付近で最大値(約5ns,約30%)に達することを明らかにした。 2.SBS発生の機構を明らかにする目的で,入射波,SBS位相共役波,および誘過波のパルス波形を,ストリ-クカメラ(時間分解能8.3ps)上で同時観測できるように光学系を配置し、3光波間のタイミングおよびパルス強度の相関をしらべた。レ-ザ-ビ-ムの焦点位置がセル液体内にあるとき,SBS波は入射光パルスの前半部分のみで存在し後半部分では存在しなくなる。このとき透過光の強度は非常に弱い。また,焦点位置が液面より上にあるとき,透過光は入射光パルスの前半部分で存在し,後半部分ではずっと弱くなる。このとき,SBS波発生のしきい値は、焦点位置が液体内にあるときに比べて高くなる。 3.以上の実験結果をもとに,誘導ブリュアン散乱による位相共役波発生の機構とその特性について考察を行った。
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