橋梁付近の船舶航行水域に着目し、橋梁を安全に船舶が通過するための橋梁と航行水路と船舶の関係について、過去に発生した橋梁に対する船舶衝突事故例の解析と、橋梁付近を航行する船舶の航行シミュレーションにより検討した。 船舶衝突事故例の解析については今回新たにロイド海難週報などにより収集したデータと過去に調査したデータを合わせて、事故の年変化や月変化をしらべた。さらに事故の要因として考えられる水路の諸要素を抽出し、それらと事故との関係を調査した。その結果、水路の諸要素、特に橋梁への直進距離や変針点の角度が橋梁の主スパンと関係して、間接的ではあるが事故に結び付く可能性のあることがわかった。 橋梁付近を航行する船に対するシミュレーション計算については、風や潮流の影響を考えた船体運動方程式をたて、計算を行なった。風や潮流は橋脚周辺で変化するが、その変化した風や潮流についても、あらかじめ行なった実験により実験式をたてて、シミュレーション計算に導入した。その結果、様々な風や潮流の複合した条件に対して橋脚付近を通行する船舶のシミュレーション計算ができるようになった。このように導かれたシミュレーション計算を行なった結果、事故例調査から得られた結果に対応するようなことが示された。あまりにも短かい直進距離では橋脚への衝突の危険が大きいことなどである。従って橋梁を通過する水路は充分に長い一直線の水路を橋梁の前後にもつことが必要であることがわかった。
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