研究概要 |
Y系高温超伝導体を用いて,超伝導アクチュエータを作製し,特性の解析を行った。 (1)オリジナルな手法であるアルギン酸法により作製したYBCOファイバステータと,直径1mmのNd磁石によるロータを組み合わせて,マイスナー反発力駆動による回転型超伝導アクチュエータを作製し,その原理的な動作を確認することができた。 (2)上記アクチュエータは,超伝導アクチュエータの動作原理の確認には役立ったが,連続回転させることは容易ではなかった。そこで,回転磁場を用いた磁気力駆動による回転型超伝導アクチュエータの開発を試みた。回転磁場とロータ磁石との間に働く磁気力でロータを駆動することにより,最大回転数1710rpmの連続回転を達成することに成功した。購入備品の高精度レーザ変位計を用いて非接触で測定したロータの軸振れは10μm以下であり,優れた特性を示すことが明らかになった。 (3)上記回転型超伝導アクチュエータの研究過程で,超伝導体ステータ上に浮上したフロート磁石に変動磁場を印加すると,安定に往復上下運動することが見いだされた。この特性を生かして,ソレノイド型往復運動超伝導アクチュエータを開発した。このアクチュエータの往復振動数は毎分3000回以上に達することが分かった。また,μm〜mmオーダの振動ストロークが得られた。 このアクチュエータの動作を,バネとダッシュポットによる2次系モデルにより理論解析し,実験と非常によく一致する結果を得た。 このように,2年間の研究により,高温超伝導小型アクチュエータの安定かつ高速な連続動作を確認することができた。今後はアクチュエータの加工・冷却・制御のレベルを高め,実用化を目指すことが望まれる。
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