研究概要 |
可燃性混合気の火花点火過程の数値シミュレ-ションを目的とした計算コ-ドを構築するさいには,火花放電により生ずる活性化学種の反応計算を取り扱う部分および火花電極付近の流れを計算する部分を開発する必用がある.本研究では,両部分についてそれぞれ単独に計算コ-ドを開発し,その妥当性を実験結果との比較により検証した. 活性化学種の反応計算に関しては,火花放電により生ずる活性化学種の濃度分布および温度分布が初期条件として必用であるが,火花放電現象は非常に短時間かつ狭い領域で起こるために各種測定が困難である.したがって,本研究では計算に用いる素反応式および各種定数の選定を行った.計算対象はメタンー空気およびメタンー酸素混合気中での点火とし,39の素反応式および17の活性化学種を考慮した.計算を単純化するために軸対象一次元,圧力一定とし,質量保存式,エネルギ保存式,化学種保存式を差分法により陰的に解いた.点火の方法としては一定温度に保った熱線を用いた熱面点火とし,加熱開始より点火するまでの時間(以後点火遅れと呼ぶ)を求めた.ここで,メタン濃度が初期濃度の1%になったときを点火とした.計算の妥当性は,自然対流の影響を除去するために微小量力場において行った実験結果との比較により検証した.計算結果と実験結果は,熱面温度が点火遅れに及ぼす影響について定性的な一致をみた. 流れの計算に関しては,二次元軸対象とし,質量保存式,運動量保存式,エネルギ保存式,化学種保存式を差分法により解いた.このとき化学反応は非可逆総括反応とした.計算対象は計算精度が必用な乱流場における火花点火とし,火花を熱エネルギとして初期条件で与えて火花電極付近の速度分布および温度分布を求めた.実験より得られたシュリ-レン写真との比較により,本計算コ-ドの妥当性が示された.
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