研究概要 |
液体金属が大きな電気伝導率をもち,低電圧ー大電流の入・出力特性をもつことから,誘導型の変換機が必要になる。しかし,この場合現象は本質的に非定常・三次元的で,流れ場,安定性,乱流構造の解析したがって,それらが誘導機の性能に及ぼす影響を知ることは難しい。特に,直流型の場合流れが安定化され,二次元乱流構造をもち,それが摩擦圧力損失を下げ,熱伝達率を上げることが信認されつつあるだけに交流型の場合にそれらがどうなるかは,学術及び工学上関心がある。 本研究は,ロ-レンツ変換により,流れが定常で,電場が消える座標系の存在することを発見し,それに基づき,誘導機内の流れや乱れの構造を調べたものであるが,新しい事実が次々と見出されつつある。 重要な結果は,進行交番磁界下のチャネル流れが,一様磁界下のチャネル流れ(ハルトマン流れ)と著しく異なる流れ場の構造をもつこと,さらに,それが,(1)流体の慣性,(2)磁場の二次元性,(3)誘導磁界によって多様に異なるということである。これら3つの効果は,いずれも,ハルトマン流れでは決して現れず,それが非常に特別な構造をもっていることがわかる。進行交番磁界下のチャネル流れについて得られた結果の詳細は,これまでに公表した論文及び近く公表される論文で述べられている。 これらの結果は,当然流れ場の安定性や乱流構造に影響し,誘導型エネルギ-変換機の性能に影響すると考えられる。また,どのような運転条件で,工学的に有利・不利になるかも明らかになるであろう。本研究が今後さらに発展することが期待できる。
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