研究概要 |
形状記憶材料の繰返し変形挙動の研究として,TiNi形状記憶合金およびポリウレタン系形状記憶ポリマ-の応力ーひずみー温度関係を,種々の熱・力学経路について調べた。得られた主要な結果は,次の通りである。 1.TiNi形状記憶合金について: (1)マルテンサイト変態および逆変態について,繰返し変形を受けることにより変態応力は低下し,変態温度は上昇する。これらの変態応力および変態温度の繰返し特性は,応力一温度平面における変態線の挙動で整理できる。 (2)本研究で提案した応力ーひずみー温度関係式により,材料の繰返し変形特性は良く表される。 (3)R相変態に伴う応力ーひずみ曲線は形状記憶熱処理温度に依存し,熱処理温度が高いほど変態応力は低い。応力ー温度平面で表される変態領域は,R相変態と逆変態とでほぼ重なる。 (4)R相変態に伴う応力ーひずみー温度関係は,提案した構成式により表される。 (5)R相変態の逆変態で発生する回復応力は,低温で与える変態応力に比べて非常に大きい。R相変態に伴う応力ーひずみ曲線は繰返し変形でほとんど変化しない。 2.ポリウレタン系形状記録ポリマ-について: (1)材料の変形特性は熱・力学経路に依存して著しく異なる。したがって,形状記憶ポリマ-素子の機械的性質の評価を行うためには,材料の変形特性の熱・力学経路依存性の研究が重要である。 (2)高温で変形し,低温で形状固定した場合,加熱で生じる回復変式はガラス転移温度以上で大きくなる。高温でのクリ-プ変形にはクリ-プ限度が存在し,クリ-プ特性は繰返し変形で余り変化しない。
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