研究概要 |
TiとAl粉末の混合粉末を用いて,圧密と熱処理によるTi-Al金属間化合物をTi基中あるいはAl基中に分散させた金属基複合材料の作製を試みた。また,混合粉末を圧密後,摩擦押出し成形により薄板を作製し,その薄板を熱処理してTi-Al基複合材料の成形プロセスを検討した。その結果傾斜機能材料の製造の可能性が以下のように明らかになった。 1.圧密素材を熱処理した場合,400℃では焼なまし軟化するだけであるが,600℃×10hではTi-50at%AlではHV=80程度,Ti-10at%AlではHV=165程度まで硬さが上昇した。これはTiとAlが反応し,局所的にHV=550程度の硬質な金属間化合物が形成されたためである。 2.圧密素材を熱処理したのち圧縮試験を行った結果,Ti-50at%Alでは熱処理温度が高く時間が長くなるほど廷性が減少するが,Ti-10at%Alでは800℃×1hの熱処理で最大圧縮応力900HPa,限界圧縮さずみ0.4まで達した。 3.混合粉末をアルミニウムカップ内で圧密した素材を用いて摩擦押出しすることにより,Ti-50at%Alまじの薄板を成形することが可能になった。この摩擦押出ししたままの薄板は引張強さ200MPa以上の強度を示した。また硬さはTi-50at%AlでHV=65程度であるが,600℃×1hの熱処理でHV=200程度まで硬しなった。 4.混合粉末を冷間で摩擦押出ししたままの薄板は,Ti粉末が多くなるなど引張強さが低下したが,Alで300HPa,Ti-10at%Alで200MPa,Ti-50at%Alで140HPaとなった。この薄板を熱処理すると温度上昇に伴い引張強さが低下するが,硬質脆性組織の生成によるものである。 5.Ti-Al混合率を変えた層状圧密素材を作成し,摩擦押出しを試みた結果,混合粉末の配置を適当に行うことにより.傾斜機能材料薄板の作製の可能性が明らかになった。
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