研究概要 |
砥石周速度V_s=1〜3m/sの極低速度域における炭素鋼S45Cの研削時に,砥石摩耗速度の急増に伴って研削抵抗が極小となり,さらに表面粗さが顕著に劣化するなどの特異現象が発生する。本研究ではこの特異現象の発生機構を解明するために,砥粒研削点温度の測定,砥石面付着物の観察さらに付着物と切り屑の硬度比較に関する解析を行った。得られた主な結論は以下のとおりである。 (1)特異現象は砥粒研削点温度の,ある特定領域で発生し,これは切削加工における構成刃先の発生温度領域が限定される現象と定性的に一致する。 (2)切り屑と砥石面付着物とには,特異現象の発生領域において硬度差が存在し,これは切削加工の構成刃先と切り屑との硬度差と同程度である。 (3)特異現象の発生する速度域における砥粒付着物の断面組織は切削加工の構成刃先と同様の層状組織を示す。 以上の結論から,極低速度域の1〜3m/sにおける砥粒研削点に切り屑硬度以上に加工硬化された層状組織を有する構成刃先が発現するものと推定される。 また,前報^<1)>で特異現象が発生する速度領域以下では品質・精度の観点から極低速度研削加工の適用範囲が十分に存在することを示した。
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