研究課題/領域番号 |
03650125
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機械要素
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平塚 健一 東京工業大学, 工学部, 助手 (30181168)
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研究分担者 |
中野 隆 東京工業大学, 工学部, 助手 (00183517)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 超低摩擦 / 雰囲気気体 / 凝着力 / アルミナ / プラチナ |
研究概要 |
Pt対Al_2O_3の摩擦における超低摩擦の機構を調べるために、摩擦材と雰囲気気体の影響について実験した。ピン・オン・ディスク型摩耗試験装置のピン試片にPtやAuを、ディスク試片にAl_2O_3を用い、酸素、窒素、アルゴン、水蒸気圧力の影響、あるいは真空グリ-ス塗布の影響をみた。真空中においてPt対Al_2O_3はμ=0.02という超低摩擦を示したが、Au対Al_2O_3ではμ=0.09であった。雰囲気気体の種類によってPt対Al_2O_3の摩擦に対する気体圧力の影響は異なった様相を呈した。酸素圧に対して摩擦係数は10Paで最大値0.7をとり、10^4Pa付近でもう一度超低摩擦を示す。ところが10^5Paの酸素中では再度摩擦係数は上昇し0.7をとる.窒素とアルゴンはほぼ同じ影響を与えた。約0.1Pa以上で超低摩擦は消失し、10Pa付近で最大値0.1をとる。しかし10^4Pa以上ではまた超低摩擦が発現する。水蒸気の導入は0.1Pa以上で摩擦係数を0.15に、1000Pa付近で0.4という高摩擦を与える。真空グリ-スを塗布した真空中、摩擦係数は約0.3という高摩擦を示した。以上の結果から超低摩擦が発現するには、Al_2O_3に対して摩擦材の酸化活性が単に低いだけでは不充分であることがわかった。また雰囲気気体の影響を次のように考えた。酸素,窒素,アルゴンの0.1Pa台から摩擦係数が上昇するのは、容器内壁に吸着している水分子がこれらの気体の衝突によってたたき出され、Al_2O_3表面に再吸着してPT対Al_2O_3間の凝着力を上げたからだと推定される。また、これらの気体の10_4Pa圧力中でもう一度超低摩擦を示すのは、それらの分子の数が水分子の数に比べて相対的に多くなって水の吸着を妨げPtとAl_2O_3間の凝着力を小さくしたからだろうと推定される。酸素のみにおいて10_5Paで摩擦力が再度上昇するのは、酸素吸着によって水分子が吸着しやすくなり、PtーAl_2O_3間の結合力が増大したからだと考えられる。このように超低摩擦は微量存在する水分子の影響を大きくうけることがわかった。
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