| 研究概要 |
本研究の結果により得られた成果は次の通りである。
(1) ハイポイドギヤやベベルギヤの加工機の構造を解析して,工具の切刃が被加工物に対し相対的に描く軌跡面の求め方を明らかにし,カッター諸元と歯車加工機のセッティング条件が与えられたときに,歯車歯面を表す空間曲面が創成される状態を計算可能とした。
(2) この様にしてコンピュータ内に数学的に創成される駆動歯車・被動歯車の歯面を表す空間曲面が接触し,弾性変形しながら運動を伝える状況を解析し,そのシミュレーションプログラムを構築した。
(3) このシュミレーションの信頼性を確認するため,歯当りが歯筋方向に長いもの,短いもの,右上がりのもの,左上がりのものの4種類の代表的な歯面形状のハイポイドギヤを設計・製作し,負荷かみ合い試験を実施し,歯車の加工条件の関数である基本歯面形状および製作時の歯面形状誤差と歯当りパターンの形状との関係,およびそれらと角度伝達の変動状態の関係を検討した。検討の結果,開発したシミュレーションプログラムは,実際のハイポイドギヤの荷重伝達特性をよく再現するものであることが確認された。
(4) ハイポイドギアの耐久試験において,駆動歯車歯元のクラック発生に伴い観測される振動のかみあい1次成分の変化を説明するため,クラック発生時の歯の剛性の低下を想定してシミュレーションを行い,観測された状態変化を検討した。その結果,歯車のかみ合いに起因する振動加速度のかみあい1次成分の変化を観察することにより,ハイポイドギアの歯の折損を早期発見し得る可能性が示さた。
(5) この実験とシミュレーション結果との対比作業に於いて,シミュレーションプログラム内容の詳細な再検討を実施し,その信頼性を向上させた。これによりハイポイドギヤおよびベベルギヤの動力伝達状況のシミュレーション技術をほぼ確立する事が出来た。
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