研究概要 |
本研究のテーマは,(1)キャビテーションを利用して油から溶解気体を析出させる.(2)気泡と油を分離する.(3)油の脱気度とキャビテ-シション限界の関係を評価する.という三段階から成る.平成3年度は,ポンプの吸入側に抵抗を設けることでキャビテーションを発生させ,その気液混層流から旋回流を作って,気-油の分離を試みた.しかし,当初の予想以上に,キャビテーションによるポンプの振動が大きく,また旋回流を使った場合,気-油の分離効率の点で不満足なものであることが判明した.そこで,平成4年度では,ピストンを利用したキャビテーション発生法を試み,オリフィスを通ってキャビテーションが発生した油を,次にオリフィスを閉じて密閉した状態で,更にピストンを引き下げるという二段引きを導入することによって,大きな気泡を生じさせるとともに,気体析出を促進させる手法を開発した.このような脱気装置を使って脱気した油の溶解気体量の変化を測定したところ,大気開放下でのタンク内の油の気体溶解量を,飽和時の1/5程度まで下げることができた.その時,オリフィス径,油温,二段引き開始位置を変えた場合の油の脱気度には大きな差が見られず,オリフィス径を大きくし,ピストン速度を大きくすることによってタンク内の油を効率よく脱気できることがわかった.また気体溶解量とキャビテーション限界の関係を調べるために,気体溶解量の異なる油を用いて,オリフィスに発生するキャビテーションの観察を行った結果,気体溶解量が少ない油の方が,より大きなオリフィス前後差圧でキャビテーションが発生することが確認できた.これより油を脱気することでキャビテーション発生を抑えることができることが確かめられた.
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