研究概要 |
得られた主要な結果を以下に要約する。 (1)Greenwood図にHamrock-Dowson図を結合した潤滑領域図に潤滑油の固・液転移条件まで総合した固・液転換潤滑領域図でPE(高圧粘度-弾性体面)とPR(高圧粘度-剛体面)の境界にHoupertの修正を加えると、観測された油膜形状と良い一致が認められた。また、実験で求めた最小膜厚等高図から、弾塑性固体領域では、ニュートン流体を仮定して求めた理論値よりも40%程度厚膜になることが分かったので「20th Leeds-Lyon Symposium on Tribology,1993-9,Lyon,France」で報告すべく原稿を送付した。 (2)弾性流体潤滑(PE:高圧粘度-弾性体面)下の潤滑油のトラクション特性は潤滑油の分子自由体積に依存する体積弾性係数と密接な関係があり、体積弾性係数が大きいほど最大トラクション係数も大きくなることが分かった。また、この関係は弾塑性固体領域(αb>25)でも成り立つことが確認された。固・液転換潤滑領域図はトラクション係数を推定する基礎図としての使用も可能であることが分かったので「トライボロジスト」に投稿している。 (3)高圧EHL条件下の転がり軸受に寿命にΛ(膜厚/合成あらさ)値のみならず、潤滑油の固化膜の形成と破壊とが支配的影響持ち、固化油(弾塑性固体)の体積弾性係数が低く、延性挙動を示す潤滑油ほど長寿命示すこと、また、この延性固化膜が消失すると急激に寿命が低下することが分かったので「STLE Annual Meeting,1993-5,Calgary,Canada」で発表する。なお、ワックス添加にゆる軸受寿命の増加については「トライボロジスト」に掲載されている。 (4)粘度圧力係数の高い潤滑油は静的シールのシーラントとして、その使用が期待されること、また、漏れない条件が潤滑油の固化現象によって支配されることが分かったので「13th Interna-tional Conference on FLUID SEALING,Brugge,Belgium,1992-4」で発表した。論文は"Fluid Sealing",Dr.B.S.Nau,ed,Kluwer Academic Publishers,Dordrecht,The Netherlands(1992).にに掲載されている。
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