研究概要 |
遠心ポンプの気液二相流時の揚水性能改善に関する指針を得るために,1.据え付け軸による揚水性能の違い:立て軸形ポンプ(羽根車内の気相の流動様相だけが観察可能)において低水流量域において計測されたボリュ-ト室断面積の減少に伴う揚水性能改善の原因を探るために,吸込み管,吐出し管及びボリュ-ト室を含むポンプケ-シング内の気相の流動様相が全て観察可能な横軸形を用いて調査したところ,気液二相流時の揚程低下の原因が羽根車内での気体滞留にあること,羽根車下流のボリュ-ト室及び吐出し管では揚程低下後も微細な気泡流状態であることがわかった。気液二相流時のポンプ性能と内部流動の計測を行った。このとき揚水性能自体には両者による違いは認められなかった。2,羽根出口角の影響:出口角が異なる3種類の羽根車を用いた試験から,出口角が大きいほどわずかな気体の混入により揚程はすぐに低下するものの,気体流量を増やしたときの揚程を高く保つことができることが明らかとなった。3.開放形羽根車の採用:羽根車の側板を取り外し,さらに出口近傍の車板を削除した開導形にすることによって水大流量域における液単相時の揚程は若干下がるものの気液二相流時の揚程低下は緩やかとなることがわかった。4.羽根付ディフュ-ザの採用:羽根車にできた気体滞留域の伸長を寸断するために出口下流のディフュ-ザ部に静止翼列を設けたところ,羽根車内の負圧面側にできる滞留域には有効でその伸長に伴う揚程低下を回避することができた。5.車板孔を通る循環流の効果:羽根車内に生じる気体滞留域を羽根出口下流の水を車板に設けた孔から吹き出させた循環流により抑制・微細化させる実験を試みたところ,揚水性能の改善が認められた。6.ポンプ内の気液二相流計算プログラムの開発:実験において得られた気相の内部流動様相計測結果を理論的に考察できるプログラムを現在開発中である。
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