研究概要 |
遠心圧縮機の羽根車を高速で回転すれば単段で高定力比を得ることができるが,羽根車への相対流入速度は高速を超える,従って,羽根車インデュ-サ部に衝撃波が生じることは避けられない,この衝撃波の挙動はインデュ-サの失速と密接な関係があり,圧縮機の運転範囲と関連する。本研究では,レ-ザ流速計を用いてインデュ-サ部の流れを流量を変化させて詳細に計測すると同時に,シュラウド壁面に高周波応答性の良い半導体圧力センサを設け,特に失速限界からサ-ジに入る流量での翼間圧力波形を詳細に計測した。得られた主な知見は以下の通りである (1)インデュ-サ先端回転マッハ数が1を超える一定回転数で流量を高最効率点から失速限界流量までの4流量についてのレ-ザ計測結果によれば,流量の減少とともに入射角が大きくなりインデュ-サ翼負圧面に急激な増速域が形成され,マッハ数は増加する。それに伴い強い衝撃波が上流に移動し,かつ衝撃波の端が上流側へ伸びる。 (2)インデュ-サ前縁の上流断面のマッハ数分布の測定結果によれば,流れは三次元的で,インデュ-サ先端回転マッハ数が1を超える場合には,相対マッハ数が1を超える範囲は深さ比で60%以上にも及ぶが,その深さでの周方向の範囲は約40%に狭くなる。 (3)高速回転においてはサ-ジングに入る直前にインデュ-サでは旋回失速に類似の現象が観察されること,三次元的な失速セルが急激に発達してサ-ジングに入ることが確認された。今後は,この過渡現象に着目して,圧力波形の時間変化から衝撃波の挙動を調べるとともに,L2F計測の基礎資料とする。 なお,本年度は中途で羽根車が損傷し,新しい羽根車の設計製作,その特性試験および圧力センサ計測に時間を要したため,新しい羽根車でのレ-ザ計測は行っていない。継続して実験を行う予定である。
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