研究概要 |
各種機器内の流れ・伝熱現像を予測する手段として,数値計算が広く利用されている。ここで大きな問題となるのは,実際の工業機器が有する複雑な境界形状の取り扱いである。その解決策として,有限要素法は複雑な境界形状の取り扱いが容易であり,かつプリポスト処理を含めた統合的な流れ解析システムを構築しやすいため,工学的な計算手法としての重要性は大きい。しかし,有限要素法による非圧縮性流体の計算では,連続の式を満足させる解法と要素係数行列の取り扱い方が計算効率に大きく影響する。 そこで,申請者は連続の式の解法部分に流速とBernoulli関数の同時緩和法を,要素係数行列の計算にはMizukamiの手法を3次元に拡張した解析公式をそれぞれ用いることにより,大規模な熱流動計算に適した低計算容量のGSMAC有限要素法を新たに提案した。スキーム検証用モデルとして,(1)内円筒を加熱,外円筒を冷却した水平二重円筒内自然対流問題,(2)回転しているロールにより誘起される随伴流の流動拡散問題,(3)電磁流体の平行平板間助走区間領域の流動解析を取り扱い他者の実験および数値解析結果と比較・検討した結果,申請者が提案した有限要素スキームの有効性・実用性を示した。 現在,熱流動を伴う乱流解析技術の主流はLESに移りつつある。しかし,従来のLESはスペクトル法,有限差分を用いた解析が多く汎用性が低い。そこで,申請者は前述のGSMAC有限要素法にLESを導入し,解析モデルとして平行平板間乱流を扱い,基本的な乱流統計量を検討し,その工学的な実用性俎明らかにした。
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