研究概要 |
一年目は,低質燃料の代表として希薄な燃料(プロパン,メチルアルコール)を用いた実験により,主燃焼室の1%程度の小さなキャビーティーから水素-空気予混合気による火炎ジェットにより当量比0.6の燃焼時間を量論比の混合気並に,さらに,水素-酸素予混合気を用いれば希薄側着火限界以下の当量比0.5の混合気をやはり量論比の混合気並の速度で燃焼させうることを明らかにした。これらの結果を二年目である本年度初めにまとめ,1992年国際動力会議(ASME,JSME,CSME共催)において発表した。それらの結果では,水素-空気をキャビティーガスに用いるときは,キャビティー体積1%程度,噴口径4mm程度が効果的であり,水素-酸素を用いるときはそれぞれ0.5%,6mm程度が効果的であること,このような燃焼促進法が,メタノールを自動車用燃料として用いるときの大きな問題である,冷間始動に対応できる可能性を持ち合わせていることを述べた。それにつづき,燃焼促進に主に寄与する因子を探る手始めに,火炎ジェット中の火炎核と既燃ガスの比を着火位置の違いにより変化させて調ベ,1992年JSME/KSME合同熱工学会議にて発表した。この結果,ほとんどの条件で,着火位置をキャビティー中央にするのが最も良いことを示した。これだけの結果からは,結局の所,燃焼促進の主因子を明らかにはできず,さらに検討を探めた。すなわち,ジェット速度を一定に保ち,活性化学種濃度を変える実験である。この結果,およびジェット中にプラズマジェット点火による活性化学種を加えた実験を行った結果により,主に寄与する因子は活性化学種より流体的効果であろうと結論した。この結果は,1993年秋に開催される,第7回国際環太平洋自動車工学会議にて発表することになっている。
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