研究概要 |
潜熱蓄熱体の一種である高密度ポリエチレン(HDPE、固相の結晶転移温度130℃)への潜熱蓄熱について、蓄熱槽内の温度を空間的に一様に保て,かつ蓄熱体表面で高い熱伝達係数が実現できる直接接触凝縮加熱方式,すなわちHDPEの結晶化温よりいくぶん高い飽和温度を有する蒸気をHDPE上で凝縮させる加熱方式について実験的に検討を行った. 直径100mm,高さ200mmのステンレス製蓄熱槽内に粒状の蓄熱体を充填し,容器の上方からエチレングリコ-ルー水素気の混合蒸気を流入させ,蓄熱完了に要する時間,槽内温度の時間的・空間的変化を測定した.さらに,充填槽の高さおよび流入蒸気温度と蓄熱特性との関連についても検討した.得られた成果は 1.蓄熱体を体接接触凝縮加熱することにより,従来の自然対流型蓄熱槽による加熱方式に比べて,蓄熱完了時間が飛躍的に短縮可能であることが明らかになった.さらに,蓄熱完了に要する時間について,蒸気温度が結晶化温度より高い領域では蒸気温度の増大につれて低下する.一方,蒸気温度が結晶化温度より低い領域では蒸気温度の増大につれて蓄熱完了時間が増大する.これらの特性は,本蓄熱材が潜熱分散型の比熱特性を有することに起因する. 2.蓄熱効率(蓄熱量/容器流入熱量)は蓄熱開始直後に最大となり,時間の増加につれて単調に低下する.また,蓄熱効率は充填槽高さが高い場合の方が大きい.
|