研究概要 |
本研究では当初,従来型のマニピュレータの機構を小型化したマイクロアームをシリコン基板上に実現しようとした.しかし,(1)関節部の構造が複雑でマイクロ機構として実現することが困難であったこと,(2)関節部での面の相対運動による摩擦力のような力が大きすぎて関節の回転運動が得られなかったこと,により当初の計画を断念せざるをえなかった.従来の構造をマイクロ化したのでは十分な性能が得られない機構があるようである.そこで,摩擦の影響が小さくなる構造として,弾性体の変形を利用したジョイントを考えた.また,駆動力として,微小世界では静電気力が有利であることが指摘されているが,マニピュレータの関節部まで電気を供給しなければならないこと,静電アクチュエータの機構が単純であるとはいっても,それなりに構造が必要であることから,本研究では静電気力の利用をあきらめ,磁場の変化に感応するように磁性体をマイクロアームに配置して,マニピュレータ機構を動作させる方法を考案した.このマニピュレータについて,磁場内での力学を定式化して動作理論を構築した.次に,全長1cm程度のラージスケースモデルを試作して,実験によって,理論に近い動作が得られることを確認した.
|