研究概要 |
ロボットハンド(以下,単にハンドと略記)が未知対象物に対して,安定な把握系を構成する場合,以下の2つのセンシングが重要になる.一つは,ハンドと未知対象物との間の接触点センシングであり,もう一つは,この接触点を出発点とした未知対象物の形状センシングである.本研究で得られた成果をそれぞれについて,以下にまとめる. 1.接触点センシング リンク系の一部を制御によって柔らかくした状態で,適当な関節に強制変位を与えると,リンク系は対象物との接触を維持したまま,その姿勢を変える性質がある.この姿勢変形動作中の任意の二つのリンク姿勢から,近似的な接触点がセンシングできることを示した.また,リンク系が動的に対象物に衝突した場合,リンク系は対象物表面上で跳ね返ることがあるが,この場合でも2度目の接触時にリンク系が異なった姿勢で対象物に接触すれば,先と同様な考え方で,近似的な接触点がセンシングできることを示した.さらに,指先に指先触覚センサが備わっていれば,関節トルクセンサで接触リンクを検出し,その接触リンクの内面に沿って,指先触覚センサをなぞらせれば,厳密な接触点センシングが可能でになることを示した. 2.形状センシング 指先触覚センサを、平成3年度に研究試作した3自由度ロボットの先端部にとりつけた.さらに,この指先触覚センサを,その有効性が確認されている接触点検出アルゴリズムによって得られる接触点位置に誘導し、ここから指先触覚センサを利用して対象物表面上を効率的にセンシングする能動的センシングアルゴリズムを構築した。このセンシングアルゴリズムの特徴は、指先触触覚センサを,対象物の接線方向に動かし,かつ指先触覚センサの高感度領域が優先的に利用されるようにセンサ姿勢を計画している点である。
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