研究概要 |
都市近郊に分散配置する超伝導エネルギ-貯蔵装置(SMES)としては外部漏洩磁界が小さいものでなければならない.また実用化のためには,設置面積も含めたコストの小さいことが必要である。しかし,従来から用いられているトロイダル型やソレノイド型のコイルではこれらの条件をともに満足することは困難である. 本研究では,それらの条件を満たす可能性のあるコイルシステムとして,導体を球状,あるいは楕円球状に配置したもの,またそれらを半分に分割したもの,さらにこれらに漏洩磁界消去用の補正コイルを設けたシステム,及びト-ラスの内部空間にも導体を配置したトロイダル型のコイルを提案した.そして,これらのシステムについて,貯蔵エネルギ-一定,コイル導体の最大経験磁界一定という条件の下で,外部漏洩磁界,SMESのコストの主要な要素である超伝導線材量,必要設置面積について計算を行い,それらの特性の比較検討を行った. その結果,球状コイルあるいは楕円球状コイルでは,外部にこれと焦点を同じくする打ち消しコイルを設け,その巻数をある条件に保てば,外部の漏洩磁界は完全に打ち消す事ができ,トロイダル型のコイルに比べ,設置面積は同程度で,導体量は形状にもよるが20〜30%少なくできることを見いだした.さらに外部打ち消しコイルの導体量はそれに加わる磁界が小さいことを考慮するとより少なくなり,導体量は漏れ磁界の遮蔽を行っていない通常のソレノイド型のコイルと同程度になることを見いだし,この型のコイルが都市設置型SMESに適しているという結論を得た.この他,内部空間に導体を配置したトロイダル型のシステムでもある程度の導体量の軽減が図られるが,半球状コイルでは漏洩磁界の遮蔽は困難で,導体量も球状コイルと同程度にしか減少できないという結果が得られた.
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