研究概要 |
LSI用の基板及び医学用のセンサーなどにエピタキシャルSiがデバイスの性能を決定する上で極めて重要な位置をしめている。平成3年度の科学研究費補助金によって,エピタキシャルSiの基板の深さ方向のライフタイム測定システムの試作と種々の厚さのエピタキシャルSiのライフタイム測定を行った。システム試作に当っては,比較的厚いエピタキシャル層の深さ方向分布が測定できる様に試作した。 低抵抗(0.001〜0.002Ω・cm)のN形基板の上に直接高抵抗(1k〜2Ω・cm)のエピタキシャルSi層を成長した場合は,エピタキシャル層と基板の界面付近で著しくライフタイムが減少する。基板(0.001〜0.002Ω・cm)とエピタキシャルSi層(1k〜2kΩ・cm)の間に両者の中間程度の抵抗率(〜1Ω・cm)を持つバッファー層を1μm程度デポジットすることによって,界面付近のライフタイムは約1桁程度大きな値になり改善される。面積が5.8^<mm>×5.8^<mm>の受光素子を試作して,その逆方向電流値もバッファー層を作ることにより約1桁程度小さくなる。p^-/p/p^+エピSiウェーハを用意し,n^+-p^--n^+の格子状TEGを形成してp^-エピ層のライフタイムの深さ方向分布の測定系を確立した。p^-エピ層のライフタイムは,p^+基板との界面付近でも劣化の傾向は少なかった。n^-/n,n^-/n/n^+,p^-/p/p^+の3種類のエピウェーハを用いて,0.145mm^2(約0.4mm径)のホトダイオードを製作した。逆方向I-V特性から,漏れ電流の小さい順にp^-/p/p^+,n^-/n/n^+,n^-/n^+エピ層で構成した素子であることを見出した。 エピタキシャルSi層内の酸素は10^<16>/cc以下であるが,450°C付近で長時間熱処理後,酸素が数個複合体を作っていると云われるサーマルドナーが観測された。このサーマルドナーの分布は基板からの酸素の拡散を考えると拡散理論と一致した。
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