| 研究概要 |
本研究では,コンピュータを使った数値実験によって,電磁波の散乱現象を解析する解析法を確立し,各種の形状や媒質を持つ物体による散乱過渡特性を求め考察した.その結果は以下の通りである.
1.電磁波の散乱過渡現象解析法の確立について
(1)問題の定式化…………1次元物体の伝搬過渡特性と3次元物体の過渡散乱特性について各種モデル化を行い,過渡現象を表わす式を導くことができた.
(2)高速数値ラプラス変換法の導入……従来広く用いられているFFT法(高速フーリエ変換法)と比較し,過渡現象が長く続く場合にも使用できる等の優位性を確認し,本解析法の数値計算アルゴリズムに用いることを決定した.
2.具体的問題の解析について
(1)1次元問題に関して……土中に完全導体板が埋設されている場合のパルス伝搬特性を解析し,反射パルス波形を求めた.土壌の水分比が多いほどパルスの減衰は大きく遅れ時間も大きいことがわかった.ここでは,土壌の誘電率,導電率の測定値をもとにして,複素周波数sの関数(分散式)で表わす手法も確立した.
(2)3次元問題に関して……誘電体球による散乱現象を解析し,遠方および球上で観測される応答波形を求めた.球表面からの散乱波,球内部を伝搬する波,球の円周上を伝搬する波(クリーピング波)を識別した.パルス波が球内部に入射するとき,臨界角入射やブルースター角入射が存在することがわかった.
なお,2次元問題に関しては上記(1),(2)の研究に手間どったためまだ研究を完了していない.今後引き続き研究を行なう予定である。
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