研究概要 |
本研究は,リモ-トセンシング画像デ-タ中に含まれている物体の形や大きさ,相対的な位置関係,テクスチャなどの空間的文脈情報を積極的に利用することによって,より高い分類精度を達成できる分類手法(以下,文脈的分類法という)を新たに開発することを目的としている。この目的を達成するために,本年度は次の2項目について研究した。 1.既存の文脈的分類法に対する統一的・客観的な評価実験の実施 2.新しい高性能な文脈的分類法の開発とその実用化 まず,1については,確率分布のパラメ-タ推定に誤まりを許容した場合の分類精度のロバスト性に関して,評価実験を開始した。評価対象としている分類法は,前処理方式としての平滑化手法による手法,後処理方式としての多数決法,複合処理方式としての複合決定法,適応的分類法,確率的弛緩法である。評価実験は一部が終了したのみであり,今後も評価実験を継続する予定である。これまでの所,単純な方式の方が高いロバスト性を示すという結果が得られている。 次に,2については,1の結果を踏まえて,実用レベルの高性能な文脈的分類法を開発するために,拡張型適応的分類法と強制収束判定付き確率的弛緩法の改良を行なった。評価実験の結果,これらの改良2手法は,従来の文脈的分類法よりも分類精度,処理時間,所要メモリ量,分類の安定性に関して高い性能を有することを確認した。 また,本年度は,形状情報を利用する次世代の文脈的分類法を開発するために,輪郭線情報に基づく分類手法についての基礎的検討も行なった。具体的には,線分近似型高速ハフ変換により任意図形検出法の開発,クラスタリング手順に基づいた雑音に強い輪郭線図形の線分近似手法の開発などを行なった。さらに,NOAA画像デ-タを用いた海表面温度推定誤差の気象・海象条件の実験的検討も行なった。
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