研究概要 |
1.従来知られている一方向誤り訂正符号は,主にデ-タ通信系に利用されており算術演算を施すことにより符号系が崩れてしまうという欠点をもっている.したがって,演算処理用のチップの誤り故障の検出には利用できない.本研究で取り上げたいわゆるAN符号,剰余符号,,lgANl_M符号では算術演算に対して閉じているのでこれらを対象にして誤り訂正符号能力の検討を行った. その結果,一方向誤り検出訂正に有効な重み一定巡回AN符号の構成法富,誤り訂正能力の決定法,幾つかの重み一定巡回多値AN符号の存在条件などを明らかにした. 2.ニュ-ラルネット,ソ-テイング,画像処理用などのシストリック・アレイ,メモリ・アレイなどでは,デ-タが2次元的に配置される.このような場合に,行または列方向にデ-タが一括処理され事が多いので,行誤り列誤りの検出,訂正が可能な符号構成の研究が重要である.従来の研究では一方向の誤りに対しては効率の高い符号が構成されていたが,0誤り1誤りの両方向を考慮した誤り訂正符号は得られていない. 本研究では,一行の中の任意のランダム誤りを訂正することができる算術冗長剰余符号の構成法を提案した.この方法で得られる符号の効率は,一方向誤り訂正符号の効率よりも悪いのは当然であるが,符号化,復号操作が算術的に実行できるので,実質的には効率的である.現在のところ,この符号が一行中のランダム誤りを訂正することができる唯一の効率的算術演算符号ではないかと考えている. 3.算術誤り訂正符号を利用したマルチプロセッサシステムの設計は,現在進行中である.
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