研究概要 |
一般化された直接放射形スピーカシステム,あるいは,駆動スピーカと受動放射器の両者にMFB(動帰還)をかけた位相反転形スピーカシステムを対象にして,非線形最適化手法を使った自動設計法について検討した。このシステムの低周波動作は機械等価回路の要素から構成される20次元のユークリッド空間におけるシステムパラメータベクトルによって支配されているが,次のような条件の下に平坦特性と低周波特性の伸長とを同時に実現する最適解(最適ベクトル)を自動的に求める方法をのべている。すなわち各パラメータには物理的な制約範囲を支えたうえで,(1)駆動スピーカ及び受動放射器の最大の許容瞬時振幅以内に最適解を求めること,(2)最大許容入力電力以内に最適解を求めること,(3)帰還系を含むが発振を起こさないように最適解を求めること。このため,音圧周波数応答や,駆動スピーカおよび受動放射器の振幅、入力電力、フルヴィッツの安定判別情報等に関連した評価関数(目的関数)を定義している。この目的関数を最小化(最適化)することにより,音圧の平坦特性と音圧の低域への伸長を同時に実現する最適解(最適ベクトル)を自動的に得ることが可能となっている。また、自動設計のフローチャート及び設計例題も支えている。 なお,本手法は等価回路におきかえられるシステムであればそのいずれにおいても適用可能である。 本研究課題を通じて得られた手法を圧電形電話機に適用して成果をあげており、関連論文を発表している。
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