研究分担者 |
遠藤 恒常 金沢大学, 工学部, 助手 (80242535)
ポール・A・ローゼン 金沢大学, 自然科学研究科, 助手
満保 正喜 金沢大学, 工学部, 教授 (90019696)
ポール・A ローゼン 金沢大学, 自然科学研究科, 助手
|
研究概要 |
本研究は2ヶ年にわたり,次のような研究課題し研究を行なった。 (1)電磁パルス波発生装置の設計・試作 (2)伝搬実験によるデータの取得・解析 (1)に関しては大電力電磁パルス波発生装置を実際に試作した。この装置はコンデンサバンクを高電圧に充電し,その放電により得られる大電流をSIT(静電誘導トランジスタ)で制御し,送信用ループアンテナに低周波電流を流して,強力な磁界を発生させることができた。性能としてはコンデンサバンクを100【V】で充電し,最大200【A】の電流が発生可能であり,パルス数とパルス周波数を設定できる。問題としては,コンデンサバンクの耐電圧に余裕があるが,SITの電流容量の制限があることである。そのため,SITと並列に電流容量の大きい電磁スイッチを接続し,これを短絡させることにより単発のパルスを発生できるようにした。この場合,充電電圧200【V】で,400【A】の電流が得られた。本装置の最大規格としては,コンデンサを直列に接続し充電電圧が1000【V】で,2000【A】の電流が得られる。 (2)に関しては上記の大電力電磁パルス波発生装置を用いて,金沢大学工学部グランドにおいて伝搬実験を行なった。グランド上に送信ループアンテナと受信用サーチコイルの距離を30【m】とした。この実験において送信ループアンテナで発生させる磁界の波形はアンテナ電流の波形と等しいが,サーチコイルセンサからの出力電圧は磁界波形を微分したものになる。そこで,出力電圧波形から磁界波形にもどす処理を行なった。 また,データの取得にデジタルオシロスコープを用いたが,この方法ではサンプリング時間が短く,フーリエ変換の際に低周波域のデータが得られないことがわかった。これは新たにA/D変換器を製作する必要がある。 サーチコイル受信磁界波形と送信波形の比較した結果,今回の実験では地下からの反射波の可能性があるパルス波がみられたが,地下からの反射があるかどうかが確実ではないので,あらかじめ地下構造のわかった条件での実験が必要である。また,反射波があるとした場合,簡単なモデルを想定しシミュレーションを行なったが,反射波の磁界強度と遅延時間を考えると現在のデジタルオシロスコープを利用した方法では反射波の抽出は難しく,新たにA/D変換器を製作する必要がある。
|