研究概要 |
高感度CCDを画像センサ-として,これにフイルタ-マウントとカメラレンズ(f=28mm or 55mm)を取り付けたコンパクトなバイスタテイックライダ-の受光系システムとパソコンによる画像処理システムの構築を行った。また受信レ-ザビ-ム飛跡の疑似カラ-化,背景光,雑音処理及びAスコ-プ表示等の画像処理に関するソフト開発を行った。フィ-ルド実験の送信系には本学及び通信総合研究所のArレ-ザとYAGレ-ザを用いた。 最初にこれらのシステムによる鉛直方向の観測シミュレ-ションをエアロゾルと雲の存在を仮定した大気モデルで行いSNRの評価を行った。次にその結果を実験的に確かめるためフア-ルド観測を行った。観測条件はArレ-ザの出力300mW,55mmのカメラレンズ,送受信系間隔17.5m,露光時間7秒で行った。レ-ザビ-ム飛跡は高度200mから天頂までを捉えた。画像処理から高度1.5km及び2.0kmにある非常に薄い雲(散乱比1.5),高度3kmにある雲(散乱比10)を良好なSNR(分解能50〜100m)で観測ができた。レイリ-散乱信号に関してはこの観測条件では3kmが限界であった。高度3kmを越えると分解能が悪くなり観測は困難であった。通総研でのフイ-ルド実験では送受信系間隔を130mに広げ,YAGレ-ザを光源とし,通常のライダ-との同時観測を行った。その結果4分露光の画像デ-タからピナトウボ火山噴火による成層圏エアロゾル層の観測も本システムで可能であった。夜間観測に於ける背景光雑音はフイルタ-なとでも画像処理により十分除去可能であった。昼間観測では,CWレ-ザを用いた場合は,背景光が強すぎて観測は難しく,パルスレ-ザと高速シャッタ-を使う必要がある。 以上の結果ら,本システムは対流圏から下部成層圏にかけての雲やエアロゾル観測が可能であるとともに,そのシステム構成から,3次元多波長観測への可能性を明らかにした。
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