研究概要 |
本研究の目的は,論理的な処理を担当するシーケンス部分と連続動作の補償を担当するフィードバック部分を統合したインテリジェント制御系の設計,特性解析をファジィ,ニューラルネットで用いられている論理のアナログ化技術の観点から行なうものである. 設計に関しては,観測器VLSI回路に導入し,外部ピンから内部のフリップフロップの状態を推定する機構を作成した.ここでは,現代制御理論から判明している観測器の構造,ニューロ技術で用いられている最急降下法,それにファジィの中心的な技術である論理のアナログ化手法が使われている. この研究と平行して,最急降下法に基づく神経回路の学習法を現代制御理論の一つであるロバスト適応制御理論の立場から見直した.ここでは,テイラー展開により,非線形関数を線形部分と線形近似誤差部分に分けた.この誤差が有界であることを利用して,有界外乱に対しロバストな適応則であるデッドゾーン型およびシグマ修正型の適応則に最急降下法による適応則を変更した.この変更により,従来,証明できなかった神経回路の学習則安定性および収束領域などの特性を明かにした. 以上の結果は,論理システムと連続値システムを統合したインテリジェントシステムの設計,解析に制御理論が効果的であることを示しただけでなく,統合した表現をえるための具体的な手順,そして設計されたインテリジェントシステムの特性解析の手法を明かにした.つまり,従来経験で探っていたインテリジェントシステムの挙動,安全性を数理的な手法で解析できることを明かにした.このことは,インテリジェントシステムの安全性を高めるだけでなく,このようなシステムを開発する技術者の負担を大幅に軽減するものである.
|