研究概要 |
1.可視化材料の温度対光減衰量の自動化計測が可能な曇点測定システムをGPIB付ディジタルマルチ温度計,光パワーメータ,光検出器およびパソコン等を組合せて構成した。出力が2mWのHe-Neレーザを光源に用い,光減衰量の測定ダイナミックレンジが約45dBの測定システムを完成することができた。 2.上記システムによる寒天ゲルの透明度測定の結果,寒天ゲルの透明度が温度依存性をもつことがわかった。寒天ゲルの透明度を寒天の濃度を変えて測定した結果,寒天の濃度が2%以下で透明度が大幅に改善されたが,ゲルの機械的強度は低くなった。寒天にグリセリンを添加したところ透明度を改善することができたが,グリセリンを添加した可視化ファントムの温度対光減衰特性は,曇点近傍において光減衰量の増加が広い温度域で生じ,白濁した部分と透明な部分との境界が不明瞭になることがわかった。 3.試作した可視化寒天ゲルの電気定数を生体組織に近付けるため,0〜1%の範囲で食塩を添加したところ,曇点が低下する以外には性状の変化がみられず,電気定数の調整が可能であった。 4.寒天以外のゲルでは,ポリアクリルアミドゲル,κ-カラギーナン,ジェランガムの透明度が良好であることが光減衰量の測定により明らかになった。ポリアクリルアミドゲルは機械的強度が十分とはいえないが,κ-カラギーナンとジェランガムはイオンの添加によりゲルの強度を高くすることができる。ジェランガムはイオンの添加により著しく透明度が悪化するが,κ-カラギーナンでは300g程度の重量のファントムを作製できた。κ-カラギーナンゲルの電気的特性は,寒天ファントムなどとほぼ同じであった。
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