研究概要 |
最近,船舶の高信頼度化の要求,環境汚染に対するリスクの見直し,あるいは寿命に近づいた船舶の増加傾向などから,使用中の構造信頼度や,検査・補修の適切さを客観的に評価する方法が必要になってきた。望ましい信頼度レベルを客観的に評価し,それに合わせた検査・補修を行うには,検査の効果を組込んだ信頼性解析や,検査計画の最適化の骨格を明らかにする必要がある。一方で検査能力の定量化,部材の経年劣化特性の把握など,不確実性を減少させる努力が必要である。ところがこれらに対する過去の研究は少なく,船体構造に望ましい信頼度レベルも明確にされていないのが現状である。 このような観点から,本研究では, 1)船舶や海洋構造物に生じる疲労損傷を対象に,現場検査におけるき裂検出能力の把握方法, 2)逐次コストミニマム法による経年劣化構造物の検査計画立案法, 3)生涯コストミニマル基準の疲労設計改善法, について検討を行った。さらに,関与する種々の不確実性が検査計画立案に及ぼす影響を明らかにした。 理論の構築に重点を置いて研究し,仮想構造物を用いた数値解析を行って,理論の妥当性を検証した。
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