横浜、仙台、新潟など、揺れやすく、付近に大型石油タンクが多数設置されている気象庁10官署におけるやや長周期帯域の周期別(2〜20秒)揺れやすさを、気象庁強震計による多数の記録をKamiyama(1986)の方法ーダミ-変数を用いた速度応答スペントル(水平2成分の合成値、減衰定数0.1%)の回帰分析による方法ーを用いて統計的に抽出した。まず、87型電磁強震計による東京付近の5観測点における38地震124記録を、次に、1倍変位強震計による北日本の6観測点における7地震33記録を、それぞれ解析した。これらより、1.本解析による周期3〜4秒付近における揺れやすさの値は、岡田・鏡味(1978)が気象庁地震計記録の最大振幅から求めた揺れやすさの値とよく一致する。2.各観測点の揺れやすさの不確定性のファクタ-(例えば東京付近の場合、約1.5)より観測点間の揺れやすさの変化のそれ(例えば東京付近の場合、約3〜2)の方が有意に大きい、3.各観測点間の揺れやすさの幅は周期が長くなるほど小さくなる、4.揺れやすさは地震波の経路に依存する(東京、横浜などの観測点において伊豆半島付近に震源をもつ地震に対しては、周期9秒付近の地震波が、標準的な値よりも大きく励起される)、などの結果が示された。このうち1.は本解析の結果が周期約5秒以上の帯域でも信頼のおけるであろうことを、また2.は、大型石油タンクなどの長周期構造物の現行の耐震基準(自治省告示1983など)における地域別補正係数(短周期構造物に対する地震危険度をそのまま用いている)の値を、より合理的な値に改訂すべきことを(すなわちこの周期帯域において、より適切なマイクロゾ-ニングが必要であることを)、それぞれ示唆している。
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