研究概要 |
化学工場でボ-キサイトからアルミナを採取した時の残土として生じる産業廃棄物である極めて微粉末の赤泥を有効利用するため,天然のけい酸白土を微粉砕したシリカ微粉末と混合使用し,この混和材がモルタルまたはコンクリ-トの圧縮強度,曲げ強度等の強度特性,耐塩分浸透性,耐硫酸塩抵抗性,水密性,乾燥収縮などに及ぼす影響を調査,研究した。また,カラ-コンクリ-ト製品への利用も考慮し,蒸気養生の影響についても調査を行った。主な研究結果は次のとおりである。 (1)赤泥とシリカ微粉末との混合比およびその代替率の影響 1:2モルタルを用い,赤泥とシリカ微粉末との混合比と1:0,3:1,1:1,1:3,0:5の5種類に変えて調査の結果,材令28日までは赤泥の割合が多いほど強度は大となる傾向が得られ,赤泥の使用は有効である。また,赤泥とシリカ微粉末1:1からなる混和材の代替率を0,5,10,15,20%とすると,5〜20%用いたものの28日強度は大差がない。 (2)赤泥とシリカ微粉末とを用いたモルタル・コンクリ-トの諸性質 富配合のモルタルの場合,この混和材を用いるとプレ-ンモルタルより多少強度が低くなるが,セメント量の少ない配合では有効である。単位セメント量約300kg,水結合材比55%のコンクリ-トでは,混和材を用いないものに近い28日強度が得られており,91日への増進が期待できる。また,1:2モルタルで調査した耐塩分浸透性,耐硫酸塩抵抗性,透水試験になる水密性等は,混和材の使用により改善される。なお,コンクリ-トで測定した乾燥収縮は,混和材を用いるとやや大となる。 (3)赤泥とシリカ微粉末とを用いたコンクリ-トへの蒸気養生の影響 前養生+温度上昇+等温+徐冷=3+3(15℃/h)+3(65℃)+15hの条件で蒸気養生を行うと初期材令の強度発現の促進ならびに乾燥収縮の低減に有効であり,この混和材を用いると赤褐色のコンクリ-トが得られる。
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