研究概要 |
本研究は岩盤のゆるみ領域を測定するための真空透気試験について,(1)試験装置の製作,(2)試験装置の動作確認,(3)ゆるみ領域の評価プログラムの開発,に焦点を絞り基礎的研究を行った。その結果,以下に示す成果を得た。 (1)試験装置の製作: 岩盤に削孔されたボ-リング孔に挿入する圧力センサ付き真空室を有するパッカ-および圧力,流量等を測定する計測装置を製作した。これらは,現場において使用することを念頭におきハンディなものとした。 (2)試験装置の動作確認: ドラムカンに土,または,コンクリ-トをつめた供試体を用いて,装置の動作確認を行った。当初は装置上の不都合がいくつかあったが,改良の結果,実用上問題のない精度で圧力,流量および温・湿度を計測できること,並びに真空室の気密性が確認された。さらに,試験結果を自動収録するためのパソコン用のデ-タ収録プログラムを作成した。 (3)ゆるみ領域の評価プログラムの開発: 試験結果からゆるみ領域の範囲を推定するプログラムを開発した。まず,亀裂密度の高い岩盤を不均質な多孔質媒体の軸対称3次元場としてモデル化し,測定孔における気圧回復が岩盤のゆるみの大きさおよび範囲によってどのように異なるかを数値解析によって検討した。また,亀裂密度の小さい場合については,2次元の亀裂系モデルを設定し,亀裂開口幅のばらつきを考慮して,気圧回復測定結果に基づくゆるみ有無の判定結果における過誤の危険率を検討した。さらに多孔質地盤における解析手法を用いて,岩盤のゆるみ領域の固有透過度を均質地盤の値として評価する逆解析手法を開発した。 以上の研究によって,ゆるみ領域に新しい評価試験法の基礎的なパ-ツができあがったと考えている。今後は,実際への適用を試みながら実用化を図るつもりである。
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