研究概要 |
1.小型電磁流速計を用いた乱流計測法を発展させ,実河川や灌漑水路で様々な粗度形態を伴う流れを実測し,実験水路よりレイノルズ数で1〜2オーダー大きな流れについても実験水路で詳細に検討された乱流特性が当てはまることを確認した。2.斜め桟を用いて螺施流を産み出すことに着目,これによる開水路流れの制御の工夫を,野外流路で小型電磁流速計を用いて実証した。3.水路側岸に沿って植生帯が存在する流れの例として兼六園内水路で流れの計測を行ない,横断混合による沈砂効果を検討し,植生帯が主流部の濁質物質の除去に有効であることを示した。4.実河川敷に直接水路を仮施し,植生層上流れについての大規模実験を行ない,実験室で理想化された植生モデルを用いて行なった実験と比較し,基礎実験の有効性が確認された。5.相対水深の小さい流れでroughness sublayerの特性と乱流特性に及ぼす影響を明らかにした。6.粗度が急変する流れの遷移過程をレイノルズ応力のインパルス応答を用いた緩和モデルで表した。さらに粗度層内に形状低抗を取り込んだ乱流モデルによる数値計算によって緩和モデルの物理的背景を示した。また,粗度変化を繰り返す流れの検討を行ない,空間的均質場の形成を示唆した。7.植生層を伴う流れについては乱流構造の解析的表現を試みる一方,植生層で形状低抗を考慮したk-ε乱流モデルを用いた数値解析を提案し,植生に覆われた路床上の乱流構造を記述・予測した。8.植生帯を伴う流れについて水面変動・流速変動を同時計測し,これらの相関構造を明らかにして横断混合の機構についての理解を深めた。
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