研究概要 |
本研究においては,まず既往の各種の道路網容量の算定手法を,各OD交通の配分方法,最小カットの探索方法及び道路網容量の算定手法等の要因を通して比較検討した。そして,従来の各種の配分手法のうち,各OD交通を分割等時間配分で行う配分シミュレ-ション法が本研究に十分適用可能であることを考究した。 これらの成果を踏まえて,本研究においては各OD交通の経路選択挙動を十分に考慮できるとともに,大規模な道路網にも適用可能な配分シミュレ-ション法を用いて,道路網容量の算定手法及び道路網容量を規定する最小カットの探索手法に関するアルゴリズムを開発した。さらに,配分シミュレ-ション法の考え方を基に最小カットよりフロ-水準の大きいカットの探索手法及び感度分析に必要なカット行列の作成手法等に関するアルゴリズムについてもそれぞれ開発した。 そして,これら開発されたアルゴリズムをまず10ノ-ドモデルのネットワ-クを対象に適用を試みた。次に,実際規模の道路網として室蘭都市圏(ノ-ド123個(このうちセントロイド44個),リンク176本),及び苫小牧都市圏(ノ-ド197個(セントロイド61個),リンク257本)を対象にそれぞれ実証的な研究を行った。いずれの都市圏においても本研究で開発されたアルゴリズムが適用可能であることを検証するとともに,道路網容量からみた両都市圏の今後の道路網計画のあり方等についても言及することができた。 以上の研究を通して,従来方法論の研究にとどまっていた道路網容量による道路網感度分析の研究を実際規模の道路網にも適用可能となった。今後は,これらの成果を踏まえてODーカット行列に作成手法に関するアルゴリズムの開発及び本手法の道路網の運用管理計画,土地利用計画等への適用についても考察を試みていく。
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