研究概要 |
本研究では,不飽和土壌中での硝酸性窒素の移動を,水みち流れと蒸発による移動に着目して,実験とその結果のモデル化,および現地地下水水質観測により検討した。得られた主な結果は以下の通りである。 1.地下水の硝酸性窒素濃度の変動特性 自然条件下での硝酸性窒素の移動に関する情報を得るという目的で,地下水水質の変動特性を観測した。得られた主な知見は以下である。(1)地下水水質には降雨の影響が現れる,(2)降梅の影響は比較的早く現れ水みち流れ等の影響がうかがえる,(3)地下水水質の降雨への応答は土壌水分量,降雨量等により異なる。 2.不飽和層中の水みち流れ 不飽和相中に水みち流れが形成される機構,条件を明らかにし水みち形成をモデル化するという目的で,実験,およびシミュレーションを行った。得られた主な知見は以下である。(1)水みち形状はフラクタル構造である,(2)重力と毛管力の大きさの関係により水みち形状が決まる,(3)重力と毛管力の大きさは不飽和層の空隙の大きさと方向により決まる,(4)降水量は水みち形状に影響するときとしないときがある。 3.浸透と蒸発による硝酸性窒素の移動 不飽和土壌中での浸透と蒸発による硝酸性窒素の移動速度を調ベモデル化するという目的で,実験,およびシミュレーションを行った。得らりた知見は以下である。(1)多孔性の土では硝酸性窒素の移動距離は水分の移動距離より小さい,(2)蒸発によって硝酸性窒素の表面への移動が起こるが浸透距離への影響は小さい,(3)粒子が大きいと降雨量が硝酸性窒素移動距離に与える影響が大きい,(4)粒子が小さいと表面への移動が大きい。
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