研究概要 |
立上り基礎コンクリート部をもつ露出型鋼柱脚部が水平力により曲げ、せん断力を受ける場合、曲げ圧縮側のベースプレート外側のコンクリートが割裂し、耐力が決定されることが多い。この部分の力学挙動を明らかにするために、圧縮側に相当する部分をモデル化し、支圧実験を行った。支圧実験の報告は多数行われているが、小型試験体によるものが多く、寸法効果の影響も考慮すべきである。本実験では、出来る限り実物大に近いものを考え、コンクリートブロックの支承面積の一辺を460、500、560mmの正方形とし、高さを700mmとした。実験因子は、支承面積に対する支圧面積比、はしあき長さとした。実験から次の事項が明らかとなった。支圧幅が一定のとき、はしあき長さが増加するとともに、支圧強度比は大きくなる。はしあき長さが一定のとき支圧幅が大きくなるとともに支圧強度比は小さくなる。支圧強度比は一般にσ_b/σ_c=(Ab/Ae)^β,σb;支圧応力度,σ_c:シリンダーの圧縮強度,Ab:支圧面積,Ae:有効支承面積,α,β:実験によって決定される係数で与えられる。この実験からα=0.86.β=0.441の結果が得られた。 立上り基礎部をもつ実大の露出型柱脚試験体に、曲げ、せん断力を加え力学性状を調べた。圧縮側のベースプレート下の応力分布を矩形と考えて、終局耐力を求める場合に、上記の関係式が用いられた。実験値と、この関係式による計算値は、よく一致し、立上り基礎コンクリート部をもつ露出柱脚のコンクリートで決まる場合の終局耐力を、精度よく予測できることが明らかとなった。また、同様な実験を小型モデルで行い、柱脚の回転剛性及び終局耐力は小型モデルで求められた方法で、実大モデルを予測できることも明らかとなった。さらに一層一張間の門型ラーメンに繰返し水平力を与え、復元力特性を調べ、実験値と計算値がよく一致することを確認した。
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