研究課題/領域番号 |
03650521
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
桑野 寿 室蘭工業大学, 材料物性工業科, 助教授 (90002899)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | ボ-ルミリング / メカニカルアロイング / ナノ結晶 / メスバウア-効果 / Mo / Cr / 粒界 |
研究概要 |
1 ナノ結晶の作製;補助金で購入したSPEX8000型ボ-ルミル装置を用いてCrー20%Fe合金、Mo、W、Feー50%V合金をボ-ルミルすることにより、いずれの試料においても6〜9nmの結晶粒径を持つ多結晶粉末を作製した。既存のフリッチェ製ボ-ルミル装置(回転スピ-ド7)と上記装置を比較したが、Moの結晶粒の微細化速度に大きな違いはなく、SPEX8000型の方が安価で取り扱い性に優れている。炭素鋼、ステンレス鋼、タングステンカ-バイドの3種のボ-ルミル容器でMoの結晶粒微細化速度を比較したが、大きな違いは認められなかった。いずれの容器材料の場合も、10時間以上ボ-ルミルすると、容器材料の混入と固溶がおこり、試料の汚染がいちじるしかった。とくにタングステンカ-バイド容器はそれが顕著で、良質なナノ結晶作製の観点からは好ましくなかった。 2 ナノ結晶の物性;ナノ結晶化にともない磁気的性質と格子振動特性に大きな変化が認められた。Feー10%V合金は常温で強磁性であるが、10nm以下に結晶粒が微細化すると常磁性のFe成分が出現した。Crー20%Fe合金は通常常温で常磁性、低温で強磁性を示すが、6nmの結晶粒径の合金は10Kで強磁性を示さなかった。ボ-ルミルで作製されたナノ結晶は、不活性ガス凝縮法により作製されたものと異なり、微結晶化に伴い強磁性の消失が起こることが明らかとなった。補助金により購入した赤外線加熱炉を用いて燒鈍し、ナノ結晶合金の結晶粒径を成長させたところ、結晶粒径の増大に伴って、常磁性成分は減少し、強磁性成分が回復した。強磁性の消失は粒界上の原子の特殊な原子配列と電子状態と関係すると思われる。ナノ結晶中のFeは磁気的に結晶粒界成分と結晶格子成分から構成され、その構成比より粒界の占有する割合が推定できた。メスバウア-スペクトルの吸収面積の温度依存性から求められた9nmの結晶粒径をもつCrー20%Fe合金中のFeのデバイは380KでバルクのFeのそれより90K低く、格子振動のソフト化が確認された。 3 触媒への応用;上記の方法で作製した種々のナノサイズMo合金を触媒として活用するため、チオフェンの水素化脱硫反応への触媒特性を調べた。通常のMo粉末より高い活性度を示す結果が得られ、担持方法を改良することによる石油の脱硫触媒として使用できる可能性が確認できた。 4 研究結果の公表;本研究で得られた研究結果の一部を、粉体粉末冶金協会誌「粉体および粉末冶金」に2論文を掲載した。
|