研究概要 |
研究計画にしたがって実験研究を行い、以下の成果を得た。 [1]新しい超磁歪化合物の探索と遷移金属元素置換効果の解明 1)RCo_3化合物:RCo_3化合物(R=Y,Pr,Sm,Gd,Tb,Dy)の室温における磁歪はR=Pr,Nd,Tb,Dyで各々-25x10^<-6>,-155x10^<-6>,-65x10^<-6>,760x10^<-6>,であった。またR=Tbの77Kでの値は2680x10^<-6>に達し、従来の代表的超磁歪材料であるTbFe_2と匹敵する超磁歪が観測された。 2)Tb(Fe_<1-x>M_x)_2化合物(M=Co,Ni,Mn,Cr,Ti,V):いずれの遷移金属元素の置換によっても磁歪常数λsは減少した。これに対し軟磁性に関連する残留磁歪量λは、TbFe_2では1110x10^<-6>と大きいのに対してM=Ti,Cr,Mn,Coで各々380,690,200x10^<-6>へと減少し元素の置換効果が見られた。 [2]アモルファスの合成と結晶粒微細化による高磁歪率の達成 1)液体急冷TbFe系化合物:急冷速度V=8m/sからV=32m/sへと上昇するにともない、結晶粒径が400Aから250Aへと減少し、抗磁力Hcが2kOeから9000eへと低下し、結晶粒の微細化による超磁歪材料の軟磁性化が可能であることが明らかになった。これに対しアモルファス相では抗磁力が増加した。 2)液体急冷SmFe_2系化合物:Sm_xFe_<1-x>合金では、MgCu_2型化合物が生成されたが、磁歪は-500X10^<-6>以下で、軟磁性化は見られなかった。また急冷Sm_<0.35>(Fe_vCo_<1-v>)_<0.65>薄帯では磁歪はy=0.5で-1100x10^<-6>であった。 3)超磁歪薄帯用動磁歪特性測定装置の作製:測定装置はバイアス磁場、交流励磁磁場からなる磁歪励起部、ネットワークアナライザーを中心とした検出部及び自動制御、データ解析用コンピューターで構成した。本装置によって試料の寸法比L/Dが15以上の薄帯に付いて反磁界の影響がなく、測定精度は5%以内の磁気機械結合常数の測定が可能となった。
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