研究概要 |
透過型電子顕微鏡に高感度CCDテレビカメラを取付け蛍光板上の像をビデオ画像として取り込むシステムを製作し,通常の写真法では変化が速く解析因難な様々な合金における一次相転移過程を撮影し,その画像解析により初期過程に出現するメゾスコピックサイズのパターン変化に注目して以下の結果を得た。 1.Pd濃度が30at%付近のFe-Pd合金に観察されるbcc(bct)マルテンサイトバリアントのマクロなパターン形成は,バリアントの配列が粒界での変態歪を打す消すように自己調整した結果である。 2.個々のbcc(bct)のマルテンサイト晶内でのメゾスコピックサイズのモットルドコントラストの原因はオーステナイト相中でPd原子が完全に乱雑に配列しないことと格子不変歪が双晶変形によることにある。 3.fctへの熱弾性型マルテンサイト変態でのツイードから微細双晶へ至るメゾスコピックパターン形成の過程をその場観察で追跡し,ツイードの高分解電顕像の画像処理解析からを行いこの状態はメゾンスコピックサイズの正方歪を有する領域が母相中に歪を緩和するように配列した静的構造であることが明らかになった。 4.等比組成近傍のFePdの規則化過程を調べ初期の力学的平衡と化学的平衡の競合状態を明らかにした。 5.サイズの異なる溶質原子を含むNiやAu合金での超高圧電顕による照射誘起二次欠陥の成長速度の温度依存性の測定から,各容質原子と空孔及び格子間原子との相互作用エネルギーを求め,高エルネギー粒子線照射によって誘起される相分離,析出の際に生地の濃度変化と歪コントラスト変化を対応づける実験を行った。 6.FeRh合金の一次相転移の変態過程をその場観察で調べ,この相転移が弱い一次相転移を示す多くの形状記憶合金と同様に母相一変態相界面移動によって進行する様子を初めて明らかにした。
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