研究課題/領域番号 |
03650550
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属加工
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池田 実 東京大学, 工学部, 助手 (50167243)
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研究分担者 |
丹羽 直毅 東京大学, 工学部, 助教授 (30011208)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 高クロム鋳鉄 / 凝固組織制御 / 鋳鉄の耐摩耗性 / 鉄鋼圧延ロール / 圧延ロ-ル / 不安定化熱処理 / 炭火物 / 熱間摩耗 |
研究概要 |
これまで高クロム鋳鉄について、機械的性質、摩耗特性、凝固組織におよぼす炭素、クロム、シリコン、モリブデン等の添加量および熱処理の影響を調べてきた。その結果、モリブデンを1〜5%との添加量を増加させることにより、対摩耗性が著しく向上された。これは5%Mo添加では微細なMo2C共晶炭化物が多く析出していた。高クロム鋳鉄の炭化物はγ+M_7C_3炭化物と微細でかつ硬いMo_2C型共晶炭化物が晶出し、モリブデン添加においてこのMo_2C炭化物が耐摩耗性の向上に寄与すると考えられる。摩耗および機械特性の良いCr/C比を6、炭素を3mass%、クロムを20mass%を基本成分として、Mo量を1〜10mass%と変化させた。このときの摩耗特性、機械的性質、凝固挙動、熱処理特性等について調査及び検討した。DTA結果では、冷却にともない最初に凝固開始(初晶γ)の発熱ピークがみられる。続いてγ+M7C3共晶の発熱ピーク、γ+Mo2C共晶の発熱ピークが観察された。液相線温度、γ+M7C3共晶開始温度、Mo_2C共晶温度はMo量の増加によりいったん減少し増加して減少した。7%Moの時最大であった。ビッカース硬度はMo量によってあまり変化していない。引張強度と破壊靭性値はMo添加量の増加によって比例的に減少している。10%Moでは引張強度は200MPa、破壊靭性値は14Mpam_<1/2>となった。冷却速度の速い金型では引張強度は高い値を示し、また破壊靭性値では1%Moにおいて高い値を示したが10%Moではやや低い値を示した。SEMによる摩耗表面観察から次のことがわかる。最初マトリックスのアブレーション摩耗が進行し、その後クロム炭化物に亀裂が生じて欠落し、微細共晶のMo2Cが最後まで残存する様子がわかった。従って、このMo2Cが摩耗特性を向上させているが、総炭化物量が増加すると機械的特性の減少が生じるので、炭化物量としては35%近傍が望ましい。
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