研究概要 |
熱電素子材料の実用範囲を大幅に拡大するには,従来より性能の優れた熱電素子材料の開発とその製造プロセスを確立することが必要不可欠である。 本研究では,β-FeSi_2およびγ-LaSxを取り上げ,それらの原料粉末の製造プロセス,焼結特性および組織に及ぼす添加元素並びに焼結法の影響について検討した。 得られた結果は以下のように要約される。 1. β-FeSi_2の作製と特性 1.1. MG(Mechanical Griinding)の効果 MGとホットプレス法の採用により緻密化およびα+ε相からβ相への変化が著しく促進された。 MGによってβ相中にε相を微細に分散させることによって,電気抵抗が減少する結果,熱電特性が向上した。 1.2. Co,Ni,B添加の影響 Co,Niの添加により焼結速度は著しく促進されるが,B添加は焼結を阻害する。 Co添加はβ-FeSi_2をp-型からn-型に変化させると同時に,熱電特性を向上させるが,Ni,B添加は熱電特性を低下させた。 2. γ-LaSxの合成と焼結体の熱電素子材料特性 LaSxには,4/3≦x≦3/2の組成範囲において α,β,γ相が存在し,γ相が良好な熱電素子材料として期待されている。 しかしながら,γ相を製造するための条件は明らかにされていない。 本研究では,γ相の製造プロセスと熱電特性について検討した結果,金属Laと硫黄Sとの石英管中,1273Kでの固相反応により,低S濃度においてγ相が得られることが明らかとなった。
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