研究課題/領域番号 |
03650569
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
平塚 信之 埼玉大学, 工学部, 助教授 (20114217)
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研究分担者 |
杉山 和夫 埼玉大学, 工学部, 助手 (80114213)
高橋 幸郎 埼玉大学, 工学部, 助教授 (10124596)
小林 信一 埼玉大学, 工学部, 助教授 (40008876)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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キーワード | 磁性薄膜 / 窒化鉄 / 酸化鉄 / 多層膜 / 強磁性体 / プラズマ反応蒸着法 / 微結晶 |
研究概要 |
本研究は2種類の機能性薄膜をナノメ-タ-オ-ダ-で多層化し、新機能の探索を目的として行われた。すなわち、プラズマ反応蒸着法を用いてFe_4N単相膜を作製し、これとFe_3O_4の多層膜の作製法、積層回数および各種雰囲気中での熱処理による磁気特性の変化について系統的に調べるとともに、窒化物酸化物共存相の物性に関する基礎的研究を行った。 従来の蒸着法では作製できなかった窒化鉄膜をプラズマ反応蒸着法により作製した。結晶性の良好なFe_4N膜を作製するには窒素プラズマ雰囲気中および基板加熱による反応蒸着が有効であった。 プラズマ雰囲気中での反応蒸着により作製した、Fe_4NおよびFe_3O_4薄膜を交互に堆積したFe_4N/Fe_3O_4多層膜に関する磁気特性の膜厚依存性および熱処理による硬磁気特性を検討した。Fe_4N/Fe_3O_4/Fe_4N3層膜の磁化および保磁力はFe_3O_4単相膜にほぼ等しく、膜厚比には依存しなかった。また、Fe_3O_4層に窒素が拡散した窒化物・酸化物共存相が存在した。この窒化物・酸化物共存相を作製するために一層当たりの膜厚を小さくした結果、飽和磁化は微結晶またはアモルファス状態で存在する窒化鉄により、また保磁力は層界面での格子定数の不一致による内部応力によりそれぞれ増大した。これらの多層膜を滅圧中で熱処理した結果、保磁力は熱処理温度に対しほぼ一定であったが、飽和磁化は400℃以上の熱処理によるFe_3O_4の結晶性の改善および微結晶状態の窒化物の生成によって増加した。これらの作製した多層膜の磁気特性を調べ、その物性を検討した。 以上の結果から、異種の強磁性薄膜を多層化することにより、層界面に両相が共存する新たな層が形成され、従来の酸化物膜よりも高い飽和磁化および保磁力が得られるとともにこの境界層に関する構造的および磁気的性質を明らかにした。これにより異種の機能性薄膜の多層化による新たな、しかも有益な物理的特性の創生が示唆された。
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