研究概要 |
セラミック繊維強化金属基複合材料は比強度が高く,軽量・高強度構造材料として優れた性質を有しているが、実際に構造物を製作するに当たっては、高強度の接合技術の確立が不可欠となる。 本研究では、セラミック繊維で強化したTi基及びA1基の複合材料に対し、従来Ni基耐熱超合金の接合に用いられてきた液相拡散接合のメカニズムの適用を試み、最適接合部構造及びインサ-ト材開発のための基礎的知見を得ることを目的に種々検討を行った。 以下に、本研究で得られた主な結果及び結論を要約する。 (1) SiC長繊維強化Ti基FRM同士の固相拡散接合では、870℃,12MPa,5min.の接合条件で良好な重ね継手が得られた。しかし、より低い温度で接合するには20MPa以上の接合圧力が必要とされ、この場合には繊維の損傷が起こる。 これに対し試作のTi基インサ-ト材を用いた液相拡散接合では、850℃,2MPa,5min.の条件で良好な重ね継手が得られることが示された。 (2) SiC短繊維強化A1基FRMに対し、A1ーSi系インサ-ト材を用いて液相拡散接合を試みたところ、母材とインサ-ト材の融点差が小さく、接合圧力により母材の変形が生じた。より低い融点のインサ-ト材の開発を行ったが、試作のインサ-ト材もFRMに対するぬれ性が良好でなかった。 (3) ぬれ性を改善するため、フラックスの適用も試みた。また、フラックスの作用についても検討した。その結果、ぬれ性を阻害する因子はセラミック繊維強化A1基FRM特有のものであり、この種の材料に対するぬれ性の改善のためには、新たなメカニズムの導入が必要であることが示唆された。
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