研究課題/領域番号 |
03650598
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
工業分析化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樋口 精一郎 東京大学, 工学部, 助教授 (20011017)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1991年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | SERS / ラマン光学活性 / 振動光学活性 / ラマン分光法 / 金属コロイド / 吸着 / アミノ酸 / Lーフェニルアラニン |
研究概要 |
本研究においては、表面増強ラマン散乱(SERSと略称)を利用して振動光学活性の一種であるラマン光学活性(ROA)を利用して、アミノ酸のSERとーROAスペクトルの測定を目指したものである。SERS効果は銀粒子のコロイド溶液により誘起させることを試みた。まずSERSが起る条件としてコロイド溶液の状態をSEMおよびUVスペクトルにより検討した。その結果、SERSが誘起され、かつ、長時間安定であるには、コロイド粒子が細状に凝集していることが必要条件であることが分った。コロイド粒子がこのように凝集するとUVスペクトルに見られる表面プラズモンの吸収帯の長波長側に新しいバンドが現われ、時間と共に大きくなった。したがって、UVスペクトルの様子を見ることにより、ある程度SERSが誘起するかどうか分る。また、SEMによりコロイド粒子の凝集状態を観測することによってSERSが誘起されるかどうか判定がつくことが分った。 ROAは振動スペクトルに基く光学活性であるから、このSERSーROAが測定でき、信号を解析すれば分子のコロイド粒子への吸着状態の豊富な情報が得られることが期待される。ROAは、一般に次のように表わされる。△=(I_z^rーI_z^l)/(I_z^r+I_z^l)、ここでI_z^r、I_z^lはそれぞれ、右周りおよび左周りのdepolarizedなラマン強度である。1981年にMoskovitzらが理論的にSERSをROAの測定に応用すれば△値がSERSにより吸着分子とコロイド粒子の間の励起光の電場勾配の存在のため増大することを示唆したが、実験的には全く証明されなかった。そこで、本研究ではLーフェニルアラニンの銀コロイド溶液について、実験的にいろいろ工夫して900〜950cm^<-1>に現われるSERSバンドについてROAの測定に成功した。この成果は世界でも初めて得られたものであり、種々の応用性が考えられる。
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