研究概要 |
層状化合物としては,雲母に代表されるシリカ-アルミナ系のものが一般的である。しかし,イオン交換やピラ-構築による層間制御等の試みでは,固体酸性の発現に止まって来た。これに対し,酸化ニオブを基本とする層状化合物はその層間が強い塩基性を示すことから,ピラ-の構築や第二成分との複合化により,シリカ系層状化合物とは異なる新しい展開が期待された。ニオブ系層状化合物として,炭酸カリウムと五酸化ニオブとから1300℃の加熱によって容易に調製し得るK_4Nb_6O_<17>が用いられた。層間にインタ-カレ-トする材料としては,本研究代表者に充分の使用経験があり,しかも一酸化炭素水素化反応により分岐型炭化水素を選択的に与えるという特異性を示す,酸化ジルコニウムと酸化セリウムが選ばれた。ジルコニウムまたはセリウムの硝酸塩水溶液にK_4Nb_6O_<17>結晶粉末を加え,一昼夜攪拌して得た層状化合物は計算量の1%程度しかジルコニウムやセリウムを含まず,残りのK^+イオンはH^+に置き換っただけであった。ジルコニウムやセリウムの硝酸塩水溶は強い酸性を示すために,層間のK^+イオンはジルコニウムやセリウムイオンよりもH^+イオンと置換する事が原因と考えられた。そこで,予めジルコニウムやセリウムの硝酸塩水溶液にpHが5〜7となる様に稀アンモニア水を加え,生成した難口過性ゲルを1週間かけて取り除いた溶液にK_4Nb_6O_<17>を加え,一昼夜攪拌後,口過,洗浄し,ジルコニウムおよびセリウム置換K_4Nb_6O_<17>を得た。ジルコニウム置換型はまだ交換率が不充分であったがセリウム置換型は10%以上の交換率で得られ,X線回析によりわずかではあるが層間が拡大している事が確認された。このものを用いて一酸化炭素の水素化反応を行なったところ,C_2〜C_4のアルデヒドが選択的に得られるという新しい反応が見出された。しかし,触媒寿命が短いという事が判命したので,現在その改善に向け研究を続けているところである。
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