研究概要 |
1.R=OC_nH_<2n+1>(n=6〜12)のアルキル鎖をバイフェニル環の未端に有する一連のヘキサキス(4-(4^1-アルコキシ)バイフェノキシ)シクロトリホスファゼン(PNR_2)を合成し,その液晶性と相転移について偏光顕微鏡のオルソスコープ観察,DSC測定により検討した結果,n=6においては453KにモノトロピックのSc相を,n=7にはエナンチオトロピックのネマティック及びSc相を,またn=8〜12においてはエナンチオトロピックのSc相を見出した。n=8における粉末X線の温度変化の結果Sc相において2Q=4.1°に強い反射ピークを見出し,それが37A^^゚のSc相の層間隔に相当すること見出した。またn=8のシクロトリホスファゼンの全長は約40A^^゚であり,Sc相においてシクロトリホスファゼンはわずかに傾いて層構造を形成していることが推察された。またn=8のFT-IRの温度変化測定の結果,結晶-スメクティックC相転移においてP=N及びP-O-(C)伸縮振動が緩むことがわかった。これは液晶相において,オクトキシバイフェニル基が並び易くなることを示唆する。以上シクロトリホスファゼン液晶のモデルが形成された。 2.R=OC_8H_<17>のアルキル鎖をフェニル環の未端に有するヘキサキス(4-(4^1-オクトキシ)フェノキシ)シクロトリホスファゼンを合成しその液晶性と相転移をDSC測定及び偏光顕微鏡のオルソスコープ像観察により調べた結果,融解及び凝固に対応するピークが見られるのみで液晶相は見出されなかった。これは側鎖のアルコキシフェノキシ基の長軸方向の長さが短く,液晶相の存在に必要な層形成を実現することが困難であるためと考えられる。 3.側鎖に光学活性基をもつ(4-((6^1-メチル)4^1-オクトキシ)バイフェノキシ)シクロトリホスファゼンを合成し,その液晶性を検討した結果,エナンチオトロピックのスメクティックC相を見出した。
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