研究概要 |
1,4-、1,8-、2,3-、2,6-ジメチルナフタレン、4,4^<1->ジメチルビフェニル、p- キシレンといったジメチル芳香族炭化水素の官能基変換について、1)ビス(ブロモメチル)芳香族化合物、2)ビス(ヒドロキシメチル)芳香族化合物、3)芳香族ジアルデヒドを収率良く、かつ簡便に合成できる反応系を探索した。 1)については、N-ブロモコハク酸イミドを臭化剤とした、ベンゼン中における光ブロモ化反応が、反応選択性と生成物の精製効率とを向上させるうえで特に有効であることを認めた。 2)については、臭化トリエチエウベンジルアンモニウムのようにビス(ブロモメチル)芳香族化合物との化学親和性が高い相間移動触媒存在下、強アルカリ水溶液中でビス(ブロモメチル)芳香族化合物を還流することにより、対応するビス(ヒドロキシメチル)芳香族化合物が好収率で得られることがわかった。 3)については、ビス(ブロモメチル)芳香族化合物の直接酸化による反応を試みた。酸化剤としては過ヨウ素酸テトラブチルアンモニウムが適当であり、ジアルデヒドの収率を高めるためにはビス(ブロモメチル)芳香族化合物に対して2.2モル当量の過ヨウ素酸テトラブチルアンモニウムを添加する必要がある。本法によれば、芳香族ジアルデヒドの一部が臭素化されてしまう。無置換の芳香族ジアルデヒドを選択的に合成するにはアントラセンのような臭素捕捉剤の添加が有効である。 ビス(ヒドロキシメル)芳香族化合物や芳香族ジアルデヒドについては、ジメチル芳香族炭化水素の直接酸素酸化による合成が困難であることから、本法の意義は大きいものと考えられる。
|