研究概要 |
1.トリフルオロメチル基をもつ安息香酸クロリドと4-(ジメチルアミノ)ベンゼンから,フリーデル-クラフト反応により,ジメチルアミノ基とトリフルオロメチル基とを併せもつベンゾフエノン類を合成した。 2.一方,トリフルオロメチル基を置換基にもつベンゼン,フラン,チオフエンなどの芳香族化合物をn-ブチルリチウムでリチオ体とした後,1,1-ジクロロ-2,2-ジフルオロエチレンと反応させて2,2-ジクロロ-1-フルオロビニル基をもつ芳香族化合物を合成した。これらをさらにアルキルリチウムで脱ハロゲンし,ハロビニル基をエチニル基へと変換させた。 3.これらのトリフルオロメチル基置換芳香族アセチレン類をリチオ体とした後,助色団(ジメチルアミノ基)をもつベンゾフエノン類と反応させ対応するヒドロール体を得た。さらにこれらのヒドロール体を過塩素酸で処理し,対応する新規のトリアリールメタン系色素を合成した。 4.トリフルオロメチル基を含む多数のトリアリールメタン系色素について,それらの構造と最大吸収波長位置,耐光性などとの関係について検討した。たとえば4,4′-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフエノンから得られた色素の場合,三重結合の導入により約65nm,芳香環にトリフルオロメチル基1ケ導入することにより10〜15nmの深色効果(長波長シフト)があった。また耐光性についても,オルト位へのトリフルオロメチル基の導入により若干の改善が認められた。
|