研究課題/領域番号 |
03650681
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機工業化学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大久保 捷敏 熊本大学, 工学部, 教授 (00040402)
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研究分担者 |
佐川 尚 熊本大学, 工学部, 助手 (20225832)
臼井 聡 熊本大学, 工学部, 助手 (80185008)
石田 斉 熊本大学, 工学部, 講師 (30203003)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1991年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 人工酵素 / 分子設計 / 抗体触媒 / 遷移状態類似体 / モノクロ-ナル抗体 |
研究概要 |
酵素機能を有する抗体触媒による蛋白質の位置選択的切断にあたって、まず多点相互作用によりアミノ酸エステル基質を分子認識して反応するペプチド型加水分解酵素モデルの分子設計を試みた。すなわち活性部位となるヒスチジン誘導体と抗原分子を結合したアンカ-型触媒を合成し、別途作製したモノクロ-ナル抗体と溶液中混合することによって抗原ー抗体反応を利用して抗体内部に効率よく触媒部位を導入した抗体ハイブリッド触媒を用いて光学活性アミノ酸エステルの加水分解反応を行なった。その結果、反応は立体選択的に進行し、抗体のもつ不斉環境を利用した抗体ハイブリッド触媒の有用性が示された。また、加水分解反応の遷移状態が四面体構造をとることから遷移状態類似体をハプテンとし、遷移状態を安定化して反応する抗体触媒の開発を以下のように進めた。すなわち電荷の異なる遷移状態類似体としてリン酸エステル(アニオン性)およびアンモニウム塩誘導体(カチオン性)をそれぞれ合成し、これらをハプテンとする抗体触媒の反応性の比較から抗体結合部位での電荷の影響が明らかとなる。アニオン性ハプテンの免疫は現在進めており、これまでにカチオン性ハプテンに対するモノクロ-ナル抗体のL体アミノ酸エステル加水分解反応を調べたところ、中性から弱アルカリ領域では反応の加速がみられなかったものの、弱酸性領域では加速がみられ、そのpH依存性より至適pH〜6であることが示された。同条件下でD体基質を用いたところ反応加速はみられずL体基質に対する高い選択性が示された。さらに、金属酵素機能を有する抗体触媒の開発にあたって、これまでにヒスチジン誘導体へのルテニウム、コバルト等の遷移金属イオン添加効果から、錯形成した触媒の構造と活性および立体選択性の相関を調べており、ペプチド結合切断反応の遷移状態に相当する安定な錯体を用いた遷移状態類似体のハプテンの合成を現在検討している。
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